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K Hirayama

【特集】米内山陽子 インタビュー

更新日:2022年2月3日

1. 米内山陽子のプロフィール

広島県三原市出身。 脚本家、演出家、舞台手話通訳家


米内山陽子の主な仕事

脚本家

アニメ「ウマ娘 プリティーダービー」season1 season2 脚本

アニメ「シルバニアファミリー」脚本

アニメ「パリピ孔明」シリーズ構成

映画「思い、思われ、ふり、ふられ」共同脚本

短編映画「嘘をついて」脚本

短編映画「BonVoyage」脚本

NDPtv ミュージカル「Foodtruck Flx You full 〜course〜」

「銀河英雄伝説DieNaueThese」 第一章から第三章 脚本

チタキヨ全作品 作・演出

他多数


手話

世田谷パブリックシアター「Tribes トライブス」手話指導、舞台手話通訳

新国立劇場「星ノ数ホド」手話指導

世田谷パブリックシアター「チック」舞台手話通訳

山の手事情社「うリアしまたろ王」舞台手話通訳

NHKEテレハートネットTV『もう一人の演者~舞台手話通訳米内山陽子』出演

他多数


小説

『きみの背中』VONDS (web)

『ウマ話 セイウンスカイ編』 (ウマ娘BD-BOX1巻特典)

『ウマ話 メジロマックイーン編』 (ウマ娘BD-BOX3巻特典)


2. どのようにして脚本家になったのか


脚本家になったきっかけを教えてください

脚本家になろうと思ったのは高校生くらいの時で、それまでは役者を目指して演劇をやっていました。 14才の頃から商業の演劇に子役として出ていたりして、高校生の頃には演劇部に所属していました。 その経験の中であまり役者に向いていないなと思ったのですが、演劇とか作品作りには携わりたいという思いは変わりませんでした。じゃあ何ができるかなと思った時に小さい頃から文章を書くのが好きで周りから褒められたこともあったので、じゃあやってみようと思い、それから脚本家を目指すようになりました。 それからも演劇は続けていたのですが食べていける状況では無くて、2008年に子どもを出産した後、精神的にとても辛かった時期がありました。病院の先生に泣きながら辛い事やしんどい事を話している時、気が付いたら「お芝居を書きたい」という言葉が出たんです。その瞬間に自分でも「あ、書くことはどうしても続けたいんだ。」と気が付かされより一層、この仕事で頑張っていきたいという気持ちが強くなり本格的に脚本家へとシフトしていきました。


株式会社PTAに入ったきっかけ

それでもやっぱり厳しい状況でした。 そんな時、東京オレンジの新人公演の脚本を担当したんです。 その公演の打ち上げで「脚本の仕事をちゃんと仕事にしたい。そのためにも事務所に入りたいんだ。」と劇団員の方に話したら、ちょうどこの株式会社PTAの立ち上げの時だったので、紹介してもらい所属する流れになりました。


映画「思い、思われ、ふり、ふられ」について

 こちらの作品はコンペ形式でプロットを出して映画のプロデューサー陣と面談をして決まりました。 なので脚本の内容だけでなく打ち合わせでちゃんと話し合いができる人なのか、コミュニケーションを取ることができるのかを見られていたのではないかと思いますね。 あとは、原作自体が元々大好きだったので咲坂伊緒先生に「この作品のこういうところが好きで、この作品だったらこういう風な脚本を書きたいと思っています。ぜひ私にやらせてください。」というお手紙を書かせていただきました。その思いも伝わったのか自分の脚本で決まった時は本当に嬉しかったです。


舞台「銀河英雄伝説 Die Neue These」 アニメ「パリピ孔明」について


同じ頃に2.5次元の「銀河英雄伝説」のお仕事をいただきました。 さらに別のお仕事がきっかけでP.A.WORKSさんから「パリピ孔明」でも一緒にお仕事したいとお声がけくださりました。一度お仕事をさせていただいた方の繋がりだったり、次のお仕事をいただくためには今のお仕事を頑張らなければいけないんだなというのは続けていく中で掴んだ感覚でしたね。


3. 脚本家として

脚本家としてのやりがいは?

視聴者さんや関わってくださっているスタッフさんに喜んでもらえることですね。 エンドロールに自分の名前が載るのは何度見ても感激します。作品を見た同級生から連絡が来た時はすごく驚きましたし、本当に嬉しかったです。また自分にとって脚本を書いていて楽しいなと思う瞬間は”書いてることを忘れて書いている時”というんでしょうか。登場人物たちが目の前で喋っているような感覚です。そういう瞬間に入ったときは楽しく書けている証拠ですね。 一方で、冷静になって設定や流れを見直しながら書く瞬間もあります。登場人物の心が始めより少しでも変化して成長していたり感情のやり取りを感じられたりすると良い作品を書くことができたな、と思います。


大事にしていることは?

一つ一つの仕事に丁寧に取り組む事。 結果的に次の仕事にも繋がると思います。その分、一本一本のプレッシャーはすごいですね。製作陣とのチームプレーでもあるので、打ち合わせの機会は大切にしています。厳しい言葉で返されて落ち込むこともありましたが、良い作品にするためには大事な過程だと思っています。そこで挑戦している事は、安全圏よりチャレンジ圏に球を投げる気持ちでやる事です。受け入れてもらえるかわからないけど一回挑戦してみようと。脚本を書く上で意識していることと言えば、”分かりやすいけど分かりやすすぎないこと”です。話の内容や表情について意味は分かるけど、分かりやすすぎない。全部説明するとすごくつまらないけど何も分からないと伝わらないので、その間のラインを攻めています。想像の余地や解釈の幅を与えることは意識していますね。


今までどのような困難がありましたか。

製作陣の求めていることと自分が書いていることがズレていってしまうこともありました。そういう時ってきっと自分の視野が狭くなっていってしまっているので、まずは話し合いを重ねます。 または同業者に「こういう時どうしてる?」みたいな感じで相談していて、杉浦さんにもよく連絡させてもらっています。とにかく一人で抱え込まないことは大事ですね。そうすることで自分の視野が広がって作品の見え方が変わったりして助けられます。あとはやっぱり、書いても書いても終わらないこととか…(笑)


4. 米内山陽子のプライベートは?

一日のスケジュールは?

朝は息子が学校へ行くのを見送った後、10時までに洗濯や洗い物など家事を一通り済ませます。その後は休憩を挟みつつ夜の9時~10時頃まで仕事をするパターンが多いですね。とは言いつつ、その作品のスケジュールや自分の作業の進み具合によって早めに切り上げたり、逆に夜中まで書き続けることもよくあります。 週に1回は”The・休日”を楽しむようにしていて、ショッピングなどをしてリフレッシュしています。疲れすぎて何もする気力がないときもありますが(笑)


趣味・リフレッシュ方法

趣味という趣味もこれと言って無いんですが、ミュージカルが昔から好きでミュージカルソングを流しながら仕事をするくらい好きです。執筆作業中はずっと座りっぱなしなので体がバキバキになることもしばしば。 身体をほぐすためにストレッチをしたりゲームアプリを利用して歩くようにしています。


5. 米内山陽子の目標


今後の目標ややってみたいこと

長く書き続けることですね。長く続けられるためにも一つひとつの作品を丁寧にこなしていきたいですし、そのモチベーションを保つためにもしっかりと休みを取ることも大切にしたいです。 また、現場で自分の意見をしっかりと伝えることも大事にしていて、自分が意見を言うのと同じくらい相手の話に耳を傾けることを意識しています。


手話について

脚本家以外にも手話のお仕事をさせて頂いており、舞台通訳や手話指導に携わっています。手話を通じて携わることで他の作品の脚本を読み込むことになり、登場人物の感情や作品の世界観を学ぶことができますね。


インタビューをさせていただいて

今回は米内山陽子さんにどのようにして脚本家になったのかについてお伺いしました。 仕事に対して真摯に臨まれる一方でお子さんや大好きなミュージカルについてお話しされる瞬間に見せる柔らかな表情も印象的でした。また「安全圏よりもチャレンジ圏に球を投げる気持ちでやる」という言葉には作品や共に制作するスタッフへのリスペクトの表れにも感じました。そのようにして発揮された個々の力が集結することで、より素敵な作品が生まれるのでしょう。



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