脚本の書き方を学ぶ!プロが学んだ書き方勉強法を紹介
更新日:2022年2月3日
「脚本を書こう」と思ったとき、最初に「どうやって書けばいいの?」と思いますよね。
脚本は小説とは違い、ある程度「書き方のルール」というものがありますので、そのルールに則って書くことが求められます。
本記事では、基本的な脚本の書き方を解説しているほか、脚本の書き方が学べるホームページをご紹介しています。
また、現在プロの脚本家として活躍している3名が、どうやって脚本の書き方を学んだかお話を伺いましたので、ぜひそちらも参考にしていください。
【目次】
1.ヒット作はこうして生まれる?!脚本の書き方
2.脚本・シナリオの書き方が分かるサイト紹介
3.プロの脚本家はこうして書き方を学んだ
4.まずは書くことから!実践で脚本の書き方を学ぼう
1. ヒット作はこうして生まれる?!脚本の書き方
脚本は、ストーリーを映像にするための骨組みのようなもの。
小説のように自由な書き方はせず、ルールに則って書いていきます。
全体の構成設計
脚本を書くときは、まず全体の構成設計を行います。
どのように始まって、どういった過程を経て結末を迎えるのか、構成を考えた上で脚本に落とし込んでいきます。
構成においては「3幕構成」を見るとわかりやすいです。
3幕構成とは、1幕、2幕、3幕でストーリーが完結する構成のこと。
1幕は日常。2幕で非日常に飛び込み、3幕で結末を迎えます。
海外の映画ではよく用いられている手法ですが、このように序盤から結末までの構成を企画していきます。
シナリオ原稿の書き方
脚本は、400字詰めの原稿用紙1枚分が、1分の映像だと計算しながら書いていきます。
30分のドラマであれば、30枚分の原稿用紙に書かれるということです。
用紙サイズはA4もしくはA5で、必ず縦書きです。
手書きの場合は原稿用紙を使用しても構いませんが、現代はほとんどがパソコンを使って書かれます。
パソコンの場合は、白紙の用紙に文字だけ書いていくのがルールです。
パソコンで印刷されるマス目は、字が読みづらくなるので印刷しません。
脚本には「ノンブル」と呼ばれるページ番号を書きますが、これは脚本が完成後後から書きます。
表紙ページや登場人物、あらすじは除いてページ番号を書いていくのがルールです。
表紙タイトルの書き方
表紙には中央にタイトルを、その横に作者名を縦書きで書きます。
余計なイラストなどはいれず、シンプルにタイトルと作品名のみを書くのがベストです。
あらすじの書き方
あらすじは、ストーリーの序盤から結末まで、全体を800文字程度にまとめて書きます。
ちなみに、制作の現場では脚本のあらすじは必要ありません。
しかし、コンクールに応募する際にはあらすじが必要になりますので、ぜひ正しい書き方を覚えましょう。
あらすじを書き慣れない人は、800文字にまとめるのが難しいと感じるかもしれません。
その場合は一度文字数を気にせず、好きなようにあらすじを書いてから、不要な部分をカットしながら800文字以内にまとめると書きやすいです。
柱書きの書き方
柱書きは、各シーン(場面)の場所や時間帯を書く部分です。
柱書きを書く前は、必ず1行空けた上で冒頭「◯」を書き、シーンの場所を書きます。
場所を書くときは、シンプルかつわかりやすく書くのがポイントです。
例えば映画館にいる場合、「◯映画館」と書くと、映画館のどこにいるかがわかりません。「◯映画館・上映室」、「◯映画館・入り口の前」など、どの場所のどこにいるかがわかるように書きます。
そして、次のシーンも映画館の場合は、「◯同・トイレ」のように、「同」を用いて柱書きをします。
柱書きに時間を加えたい場合は、「◯映画館・入口の前(昼)」のように、時間そのものではなくおおまかな時間帯を書きます。
ト書きの書き方
「ト書き」とは、登場人物の状況や行動を記す部分です。
ト書きを書く際は、3文字分空けてから書き始めます。
小説の場合は、「太郎はコーヒーカップを握りしめてすするように飲んだ」など、かなり細かい描写で書くことが多いです。
しかし脚本の場合は、「コーヒーを飲む太郎」など、シンプルに書きます。
台詞の書き方
セリフは、最初に登場人物の名前を書き、続けてカギカッコ(「」)でセリフを書きます。
セリフが長く2行にまたぐ場合は、2行目は1文字分空けて続きを書きます。
脚本では、すべてをシンプルな表現で書くのが基本ですが、セリフでより状況を細かいニュアンスを表現したい場合は、『太郎「(叫びながら)もういやだ!」』など、カッコでニュアンスを書き加えます。
セリフのニュアンスを表現する際に、記号を使うことがありますが、その記号の書き方にもルールがあります。
「ため」や「ためらい」を表す「…(三点リーダー)」と、「言い切り」を表す「ー(傍線)は、2マス分使います。
また、「!」や「?」といった記号は全角で書き、「!?」は全角1文字で収まるように書きます。
2. 脚本・シナリオの書き方が分かるサイト紹介
脚本の書き方を解説している、テキスト的な書籍はたくさん販売されていますが、同じく脚本の書き方を解説しているホームページもいくつかあります。
以下に、代表的なサイトをご紹介します。
「脚本の書き方」
こちらのサイトでは、そのタイトルどおり基本的な脚本の書き方を図付きで丁寧に解説しています。
先に紹介した脚本の書き方を含め、さらに細かい書き方を解説していますので、このサイトを見れば脚本を書くためのルールはすべて網羅できるはずです。
こちらのサイトは、純粋に書き方を解説しており、構成方法やクオリティの高い脚本を書くためのポイントといった情報はありません。
そのかわり、構成を考える際におすすめの書籍紹介をしていますので、ぜひ参考にしてください。
「かかねば」
こちらのサイトは、基本的な脚本の書き方から、よい脚本を書くために必要な要素、より勉強を深めるためのヒントなど、脚本に関する幅広い情報を公開しています。
映画やドラマ、アニメなど、各分野を掘り下げた記事も多いので、脚本家を目指すたくさんの人に役立つサイトです。
シナリオコンクールの情報も掲載されているなど、とても見応えがあります。
「脚本論|大岡俊彦の作品置き場」
こちらは脚本の書き方をメインに解説しているサイトではありませんが、映画監督である大岡俊彦氏が脚本論を掘り下げています。
かなり独自の観点から論じていますが、脚本の勉強を掘り下げる中で、参考になる情報がたくさんあると思います。
ある程度脚本への理解が深まり、さらに掘り下げていきたい人におすすめのサイトです。
「脚本の書き方入門」
こちらのサイトは、基本的な脚本の書き方を解説しつつ、それぞれの要素を掘り下げて説明してくれているサイトです。
書き方のフォーマット的なところを理解したけれど、「ここってどう書くのが適切かな?」と思ったときに役立つ情報を掲載しています。
また、作り手の立場になった解釈もありますので、より実践的な書き方を知りたい人にも参考になると思います。
3. プロの脚本家はこうして書き方を学んだ
脚本の書き方について、ト書きやセリフなどの「書き方のルール」についてはすぐに情報を得ることができます。
しかし、「より見る人の心を掴む脚本を書くにはどうすればいいか」というところは、本やインターネットの情報だけでは答えを見つけることができません。
現在脚本家として活躍している人は、どうやって「脚本の書き方」を身に着けたのでしょうか?
実際にさまざまな作品を手掛けている3名の脚本家の方々に、どのように脚本のスキルを身に着けたのか、お話を伺いました。
経験例1 市川十億衛門
市川十億衛門氏は、もともと読書家だったわけではなく、脚本スクールに通ったこともありませんでした。
そんな市川氏が脚本の書き方を学んだのは、『プロの現場』だったそうです。
ご自身のアイディア、オリジナリティは一番大事にしつつ、ト書きの書き方、柱の立て方(そのシーンの意味)、1シーンの長さ、セリフの運び方など、とにかく同じ現場にいる作家さんたちの手法を真似たとのこと。
より読みやすく、より「面白そう」と、監督などの読み手に感じてもらうための技術は、とても大事なものだと実感したそうです。
書き方で分からないことや疑問に思ったことは、会議後の飲みの席で監督さんやプロデューさん、脚本家さんに質問して勉強しました。
第一線で活躍されてる方々のこだわりや技法をお聞きするのは、とても勉強になるし、とても面白かったそう。
その上で、作家なら誰もが思い悩む「自分らしい脚本」を書くためにはどうすればいいのかについて考えました。
ある監督さんは、「気にし過ぎなくても、続けてたら自然と出るようになってくるよ」とアドバイスしてくださったそうです。
その後、某プロデューサーさんに「今回、十億衛門節が炸裂してましたね」と言われました。
市川氏は俺節を炸裂させようという意識で書いたわけではなかったそうですが、あの時監督がおっしゃっていたことがつながった瞬間だったとのこと。
仕事で出会う人たちから技術を盗み、教えを乞い、自分が面白いと思うものを自分らしさにできるように心がける。
それが、市川氏がさまざまな現場で学んだ「脚本の書き方」とのことでした。
経験例2 白坂英晃
白坂氏は、とにかく数多くの「実践」で、書き方を学びました。
白坂氏はもともと作家を志望されていて、21歳で劇団を旗揚げ。
しかし、いざやってみると全然書けず、「とにかく場数だ!経験値を上げてレベルアップしよう!」と思ったそうです。
そこでまず始めたのはインプット。
本を読む、映画を観るということはもちろん大事ですが、「実際の現場で色んな脚本と向き合う」ことが一番吸収できると思い、実践しました。
俳優として、スタッフとして、演出家として、多くの演劇・映像の現場に参戦し、ほかの方が書いた脚本と向き合い続けます。
その過程の中で、「すごい!」と思った構成や台詞は積極的に盗んでいきました(パクリではなく)。
そして、今度はそれらの経験を活かしてアウトプットしていったそうです。
劇団のほかにユニットを作ったり、ある劇場の座付作家になったりして、毎月のように脚本を書いてはそれを発表。
その評判を受けて、更に改善して次に向かう…ということを繰り返す中で、自分の中での「書き方」が確立していきました。
「見て学んで盗んで、それを活かして自分の言葉で書いてみる」ことは、白坂氏が今も上達するために意識されていることだそうです。
経験例3 鈴森ゆみ
鈴森氏が「脚本家になりたいと思って」最初にしたことは、新宿の紀伊国屋書店に行って『月刊ドラマ』のバックナンバーを購入することでした。
そこで、プロの方のシナリオを読みながら見様見真似で書き、面白いのか面白くないのかもよくわからないまま、コンクールに応募して落選。
「何が悪かったのか」客観的な意見が欲しくなり、次に脚本を学べる学校を探しました。
そこから日テレ学院・江頭美智留先生のWS・シナリオセンター…と学校をはしごしながら脚本を書いてはコンクールに送る日々を過ごしたそうです。
特に江頭先生のWSでは、ダメ出しを貰って次回までにその修正をしてくる…という内容だったので、とても力になったのだそう。
他人の意見を入れ込みながら、自分の納得ができるようにどう修正するかを考える練習になったとのこと。
そこからは、コンクール応募作品といえども自分の好きなように書くのはやめよう!と考え、プロット段階から仲間の意見をもらい修正を重ねつつ、学んでいきました。
そうやって、自分の書きたいものが何なのかわからなくなったりしつつも、「とりあえず最後まで書く」を目標に書き続けた事で、少しずつシナリオの書き方が身についていったそうです。
4. まずは書くことから!実践で脚本の書き方を学ぼう
「よい脚本」を書く方法について、そう簡単に答えを出すことはできませんが、まずは書くことから始まります。
脚本の真髄がわからなくても、とにかく書いてみる。そして最後まで書き終えることが大切です。
漠然と「脚本家になりたい」と思っている人は、まず書いてみましょう。
書いてみると向き不向きを知ることができますし、「もっとこうしてみよう」という方向性がわかってきます。
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